掲載日：2022年1月18日
執筆者：Johannes Strasser | Westernacher Consulting – SAP S/4HANA Finance & Business Process Intelligenceソリューションコンサルタント
コラボレーション型のプロセス管理において、SAP Signavio Collaboration Hubはその中心的な役割を果たします。この一元化されたプラットフォームは、集合知と協力体制を確保し、部門を超えた効果的なコミュニケーションを促進することで、業種や地理的制約に関わらず、企業に真の変革をもたらします。ユーザーは、自社のプロセスに関する「信頼できる唯一の情報源」をもとに、コメントや共有機能を活用し、コラボレーションに基づく可視性の高い次世代の作業環境を手にすることができます。さらに、SAP Signavio Collaboration Hubは、SAP S/4HANAへの移行などで実現するエンドツーエンドの透明性を通じて、企業のデジタル・クラウド戦略を推進します。それでは、詳しく見ていきましょう。
SAP Signavio Collaboration Hubとは？
一言でいうと、働き方を変革し、優秀な人材が協力できる環境を提供します。このホリスティックなプラットフォームにより、組織の知恵を活用しながら、プロセスの継続的な革新と最適化を進めることができます。つまり、プロセスに関する「信頼できる唯一の情報源」として、経営陣にはリアルタイムの洞察を提示し、従業員には高い拠り所となるような透明性の集いの場を提供することで、業務プロセスに関するタスクと専門知識を統合します。
SAP Signavio Collaboration Hubを活用することで、プロセスモデルへの変更をリアルタイムで把握し、あらゆるプロセスコンテンツを明確かつシンプルに表示できます。これにより、共同プロジェクトを容易に理解、追跡、管理し、SAP Signavio Business Transformation Suite全体（SAP Signavio Process Intelligence、SAP Signavio Process Manager、SAP Signavio Journey Modeler、SAP Signavio Process Governanceなど）のプロセスコンテンツを整理できます。また、意識の統一を図り、プレゼンテーションを合理化し、すべての関係者に更新情報を分かりやすく提示することで、全社規模の取り組みを推進します。
SAP Signavio Collaboration Hubはカスタマイズも可能です。個々のユーザーを特定のグループに割り当て、グループベースのエントリポイントから実際の業務に関する情報をすぐに見つけることができます。ユーザーグループごとに統一されたルック＆フィールを管理したり、自分に最も関係のあるプロセスモデル、会話、重要な作業領域をサブスクライブして独自のニュースフィードを作成することもできます。表示をカスタマイズすることで、タスクをより明確かつ構造的に見ることができるため、ユーザーの満足度と生産性が向上します。
SAP Signavio Collaboration Hubの利点
まず、SAP Signavio Collaboration Hubはプロセスに関する信頼できる唯一の情報源を構築し、その結果、組織全体の共通理解を保証します。経営陣が必要とするすべての情報は1か所に集約され、SAP Signavio Process Intelligence、SAP Signavio Process Manager、SAP Signavio Process Governanceのデータ、プロセスモデル、分析に直接アクセスできます。Signavio Business Transformation Suite全体にわたるシームレスな検索機能により、自分のロールに関連するすべてのプロセス情報を特定でき、同僚がどのような作業をしているのかも把握できます。また、膨大なデータログをユーザー固有の条件でフィルタリングできます。そして、シンプルなバージョン管理機能により、作業の進捗状況を把握し、最終成果をすぐに見つけられます。
次に、ユーザーの成果を常に最新の状態で保持してスムーズに情報を共有するなど、円滑なコラボレーションを促進します。最新鋭の使いやすいコラボレーション機能は、直感的なインタフェースで、あらゆるスキルレベルのユーザーに適しています。各従業員は、自分のタスクに関連するアップデートや会話の通知を受け取ります。経営陣は、こうした情報をもとに、責任を持ってアクションを起こすことができます。情報共有が促進されることで、新しいアイデアが生まれ、プロセスが最適化され、変化への抵抗が減っていきます。
さらに、プレゼンテーションモードを使い、プロセスランドスケープの「全体像」を共有することもできます。これにより、複雑なビジネスプロセスでも、簡単なステップバイステップのウォークスルーを作成し、概要モードで詳細かつフルスクリーンのプレゼンテーションを提示できます。また経営陣は、プロセスリポジトリ全体を容易にナビゲートし、重要な相互関係を明確に示すことができます。最終的に、全体的な概要と詳細なコンテンツ情報をスムーズに切り替え、エンドツーエンドのトレーサビリティと正確な意思決定を促進できます。
SAP Signavio Collaboration Hubは、効率と効果の両方を高めることを特に重視し、全従業員が最新情報を入手し、業務の「何を」「なぜ」「どのように」行うかを理解できるようサポートします。ビジネス変革の成功を妨げる課題として、組織内のサイロ化、それに伴う優先順位や目標の対立、努力の分散、不完全または不明確なデータに基づく決定に対する従業員の抵抗といった問題が挙げられます。SAP Signavio Collaboration Hubは、こうした問題への解決策を提示し、組織全体の効率性と効果性の向上を支援します。SAP Signavio Collaboration Hubを活用することで、オペレーショナルエクセレンスにおける新たなマイルストーンを設定し、明確に定義された目標と構造化された責任のもとで、チームの働き方を改善することができます。
まとめ
SAP Signavio Collaboration Hubは、コラボレーションプロセス管理に不可欠なゲームチェンジャーと言えます。SAP Signavio Collaboration Hubによって作成されるプロセスに関する「信頼できる唯一の情報源」は、エンドツーエンドの透明性とトレーサビリティを提供し、企業のデジタル戦略を次のレベルへと引き上げてくれます。ユーザーは公開されたコンテンツやプロセスモデルを読んでコメントを追加したり、新しいモデルを公開前にプレビューすることができ、煩雑なメールのやり取りや、文書の最新バージョンを求めてフォルダを探し回る必要がなくなります。経営陣は、責任、ロール、プロセス階層、プロセスステップを一目で確認できるほか、組み込みの検索機能を使用して、関連するプロセス情報をすぐに見つけることができます。SAP Signavio Collaboration Hubは、SAP Signavio Process Intelligence、SAP Signavio Process Manager、SAP Signavio Journey Modeler、SAP Signavio Process Governanceを含むSAP Signavio Suite全体にわたるコンテンツの作成、活用、コラボレーションをシームレスに実現します。
次回は、SAP Signavio Process Governanceに焦点を当て、その詳細を探っていきます。どうぞお楽しみに。
