米大手企業United Sugars Corporation(USC)の最重要課題は自動化です。たった6名で構成される輸送部門が、米国内で供給される4分の1の量の砂糖を管理しています。Westernacher Consultingは、トラックおよび鉄道輸送を管理するシームレスで信頼性の高い自動化ソリューションの導入でUSCを支援しました。USCは、サードパーティに頼ることなく鉄道輸送費の請求処理を行い、鉄道計画と実行も自動化したいと考えていました。
WesternacherとUSCの緊密な協力体制とスムーズなSAP Transportation Management(SAP TM)導入により、請求書検証機能の98%が自動化され、鉄道計画機能の完全自動化が実現しました。新たに人員を追加することなく目に見える成果を上げることができた今回のプロジェクトは、変化のための変化ではなく、意味のある変革だったと言えるでしょう。
砂糖業界の主要プレーヤー
USCは、ミネソタ州ムーアヘッドに本社を置く業務用砂糖のマーケットリーダーです。米国内約28%の市場シェアを誇り、全米需要の約4分の1の砂糖を供給しています。
USCをより良い企業へと変革するテクノロジーを導入することがゴールです。そのためには、いくつかのステップを踏む必要があります。
USC | ビジネスシステムシニアディレクター | Roger Perala氏
多くの砂糖がシカゴのハブを経由して流通しています。ここでは毎日約100~125台の鉄道車両と300~350台のトラックに砂糖が積み込まれています。その大半はシカゴ周辺や沿岸部の顧客へ直接出荷されますが、一部はイリノイ州モンゴメリーなどの中継拠点へ運ばれます。モンゴメリー拠点では、約6.6万トンを収容できる大型サイロやドームに保管されるか、顧客の注文に応じて即座にトラックへ積み替えられます。
スリムな組織に最適なイノベーション
USCは、1994年に複数の砂糖協同組合が統合して設立されました。設立時に、顧客重視の経営を実現するため、リソースを1つにまとめるという決断がなされました。そして現在に至るまで、顧客の期待に応え、仕様どおりの商品を期限内に確実に届けることを目指し、継続的なイノベーションと業務プロセスの改善に力を注いできました。
「砂糖というのは非常にユニークな製品です。どの会社が作っても基本的には
砂糖は砂糖なんです。だからこそ、お客様により良いサービスを提供することが差別化の唯一の方法です」とUSCのビジネスシステムテクノロジーマネージャーRocky Wagendorf氏は言います。USCは、競合他社に負けない卓越したサービスを提供することを目指す一方で、物流・荷役・倉庫管理・輸送のコストを抑えたスリムな組織運営を維持することにも注力しています。
ビジネスプロセスのイノベーションを「カスタベート」と呼んでいます。プロセスを変革するだけでなく、お客様の要望に合わせて設計すべきです。
USC | ビジネスシステムテクノロジーマネージャー | Rocky Wagendorf氏
「私たちは非常にスリムな組織であることを誇りに思っています。スリムであるためには、できるだけ多くのプロセスを自動化する術を身に着けなければなりません。つまり、すべてはイノベーションから始まり、最終的にはオートメーションに行き着くのです」とWagendorf氏は続けます。たとえば、USCでは1日あたり500台のトラックに砂糖を積み込み出荷していますが、そのすべてをミネソタ州ムーアヘッド本社に勤務するわずか3名のトラックディスパッチャーが管理しています。さらに、輸送部門はたった6名で運営され、年間3億ドル(約450億円)規模の輸送費を扱っています。「ほぼすべての注文が、オプティマイザで最適化され、出荷時には自動的に運送業者が選定される仕組みになっています」とWagendorf氏は言います。
変革の輪を広げる:既存のサプライチェーンに真の価値を追加
USCのビジネスシステムシニアディレクターRoger Perala氏は、テクノロジーを活用して企業としての成長や改善を実現することを目標としています。「変化のための変化ではなく、改善につながる変化を追求しています。改善につながらないのであれば、変化を起こすことにほぼ価値はありません。人は変化を好まないので、必要がなければ無理に変える意味はないのです」とPerala氏は言います。

USCは、よりスマートかつ効率的に業務を行うための変革に向け、Westernacher Consultingに協力を依頼しました。「Westernacher Consultingは最初から好印象でした。現場に常駐してくれたのも、私たちにとって非常に有益でした。また、鉄道輸送の計画、実行の複雑さを理解したコンサルタントがプロジェクトに参画してくれました」とWagendorf氏は続けます。USCにとって、鉄道輸送は事業の中核を成す重要な手段です。「鉄道輸送を理解し、私たちの鉄道計画・実行・追跡の業務プロセスを次のレベルへ引き上げてくれるコンサルタントチームが現場にいることが非常に重要でした」とWagendorf氏は言います。
適切な人材の投入は成功に欠かせない要素です。
Westernacher Consulting | 南北アメリカ地域オペレーション責任者 | Ram Vaidyanathan
USCが求めていたのは、設計と開発の両面で鉄道輸送を熟知したチームでした。Wagendorf氏は、「鉄道輸送に精通したコンサルタントチームを見つけることは簡単ではありませんが、Westernacher Consultingなら信頼できると確信しました」と言います。
Westernacher Consultingの南北アメリカ地域オペレーション責任者Ram Vaidyanathanは、USCとのコラボレーションを両社にとって有益なパートナーシップと表現します。「弊社はパートナーシップ型のアプローチを重視しています。プロジェクトはすべて、お客様と共に取り組み、導入に関わる意思決定や管理に主体的に関わっていただきます。これこそが、プロジェクト成功の鍵だと信じています。USCの導入プロジェクトでも、まさに同じアプローチを採用しました。」
プロジェクトは2つのフェーズで進められました。フェーズ1では、SAP TM内で行われるすべての財務決済を対象とし、鉄道輸送の計画・実行機能の自動化と、現在のマルチモーダル輸送システム全体の財務決済の自動化を行いました。フェーズ2では、トラック輸送の自動化ソリューションの導入に焦点を当てました。
変革で直面する課題をチャンス
0
トラック台数/日
0
鉄道車両台数/日
4500
米国鉄道内の貨車追跡数/日
0 M
運送費(米ドル)
USCのビジネスシステムテクノロジーマネージャーDenise Eide氏は、当初ERPシステムの統合について疑問を抱いていたと言います。「SAP Process Integration(PI)は私たちにとって新しいソリューションで、物流と財務の両面がどう統合されるのかわかりませんでした。」
Vaidyanathanは、「USCが直面していた主な課題の1つは、既存のソリューションがすでにサポートを終了しており、技術的に高リスクな状態で稼働していたことでした。そのため、サポート体制と顧客基盤を持つ業界標準のソリューションへ移行したいという要望がありました。そこで私たちは、SAP TMを提案しました」と説明します。少数精鋭の組織であるUSCにとって、完全自動化を実現するシステムの導入は極めて重要でした。
さまざまな課題にチームで協力して取り組み、状況を整理し、必要な対策を検討して解決することで、プロジェクトの大きな障害になりかねない問題も無事に乗り越えることができました。
USC | ビジネスシステムテクノロジーマネージャー | Denise Eide氏
さらに、物流と財務の両面で、可能な限り標準機能を活用し、必要に応じてカスタマイズを行いました。「処理速度も精度も非常に優れていて、どちらも期待通りの結果を得ることができました」とEide氏は言います。



導入を成功させるうえで、人材の確保も重要な要素でした。Vaidyanathanは、「それぞれの業務分野に精通したリソースが必要でしたが、条件に合う人材をUSC内で見つけるのは容易ではありませんでした。幸いにも、弊社のグローバルネットワークを通じて、該当分野に豊富な経験を持つ弊社社員を見つけ、すぐにチームに入ってもらうことができました」と言います。
Eide氏は、「Westernacherのサポートにより、必要な人材を確保することができました」と付け加えます。
さらに、SAP TM統合による利点についてWagendorf氏は「鉄道輸送とトラック輸送の両方で、新たに人員を増やすことなく対応できました。外部委託のコストを削減できただけでなく、他社システムと運送業者契約を同期させる手間もなくなり、リソースを有効活用できるようになりました」と言います。
0
輸送部門の人員数
30 M
USCが扱う砂糖の量(トン)
0 %
請求書照合の自動化率
0 94
USC設立年
すべての運送費請求書と支払いを社内で統合し、SAP ERPを通じて処理することが、プロジェクト目標の1つでした。Eide氏は、「Westernacherのサポートにより、標準機能を活用しつつ、必要なカスタマイズを加えて自動化しました。非常にうまく機能し、ミスを削減できています。ERPでの処理に必要な情報を確実に反映するため、カスタマイズは欠かせませんでした」と説明します。
さらに、計画機能の自動化も大きな成果です。Wagendorf氏は、「500件/日のトラック出荷のうち、400件以上(約80%)は自動的に運送業者が選択され、積載計画も自動でERPに反映され、出荷/納入許可もこの拠点で発行されます」と言います。
エンドツーエンドの変革を支援する信頼できるアドバイザー
北南米で長い実績を持つWesternacher Consultingは、20年前に米国で最初の現地法人を立ち上げました。
「弊社が大事にしていることは、サプライチェーンのデジタル化を含むエンドツーエンドの変革をお客様と共に進めていくことです。United Sugars社とのプロジェクトは、私たちが目指すお客様との関わり方を象徴するものでした」と語るのは、Westernacher Consultingの南北アメリカ地域オペレーション責任者Dominik Metzgerです。
カードにデータを入力していた38年前から目覚ましく変化しています。1台1万ドルもするコンピュータを使っていた時代に比べると、技術革新が進んだことで、膨大なデータを処理し、価値ある情報を得ることができるようになりました。38年前には夢にも思っていなかったことです。
USC | ビジネスシステムシニアディレクター | Roger Perala氏
Metzgerは、「弊社は、プロジェクトの最初から最後まで、一つひとつのステップをお客様と共に進めていきます。お客様にとっての信頼できるアドバイザーとして、お客様と共に明確なビジョンを描き、戦略的パートナーとして伴走します。最終的なゴールはどこなのか。USCにとってのゲームチェンジャーは何か。それらを明確にしながら、一歩ずつ変革を進めていきます」と付け加えます。
未来に向けて自動化を推進
25年以上にわたりシステムのアップグレードや再構築に携わってきたWagendorf氏にとって、今回のSAP TMシステムを全面的に刷新するプロジェクトは非常に意義のある取り組みでした。高リスクになる可能性があったものの、「結果的にはリスクは低く、むしろ大きな成果につながりました」と同氏は述べています。さらに、「今後もWesternacher Consultingと共にシステムのアップグレードを進め、最終的にはERPをHANAプラットフォームへ移行する予定です。HANAを使うことで取引データをリアルタイムで取得できるなど、すでに大きな成果を得ています。以前は情報取得に2~3時間の遅れが生じていたため、この改善は非常に大きなメリットです」と付け加えます。
Perala氏はERPシステムのアップグレード計画についても非常に前向きです。「SAP S/4HANAのコンセプトは非常に魅力的です。データサイズを縮小して表や履歴をすばやく生成したり、参照・分析方法を変更してデータを改善することもできます。目的に沿った処理方法を選ぶことで、過去データを最大限に活用できます。将来的にはこうした技術を取り入れたいと考えていますが、実現までにはいくつかステップが必要です。」
USCは、カスタマーサービスや輸送計画、IT部門においても非常にリーンな組織です。効率的であり続けるためには、自動化が鍵となります。Eide氏はこう説明します。「弊社は高い自動化率を誇っており、これは現在の業務だけでなく、将来的な成長にも役立ちます。事業の拡大に伴い、コミュニケーション、文書作成、アラート送信など、お客様のさらなる要望に対応しなければなりません。私たちは、革新に取り組み、将来的にもそれを継続できる体制を整えることができました。輸送計画システムがその実現に大いに貢献しています。」
USCとWesternacher Consultingのパートナーシップにより、USCは効率的でリーンなビジネスモデルを維持しつつ、顧客に役立つ成果を生み出すことができました。今後も、USCとWesternacher Consultingによる革新の旅は続きます。
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