読者の皆さん、アナリティクス愛好者、データ消費者、幹部、経営陣の皆さん、こんにちは。
このシリーズの目的は、データ分析とデータウェアハウジングに関する有益な情報を皆さんにお届けすることです。少なくとも「組織のデータウェアハウス・データ分析戦略はどうなっているのか?」という会話のきっかけになればと思っています。
今回は以下の3つのパートに分けて進めていきます。
- データ分析が組織にとって重要である理由
- 一般的な組織におけるSAP Data Analyticsプラットフォームの活用例
- 次のステップと考慮事項:将来のロードマップ
データ分析が重要な理由
あまり哲学的にならずに言うと、あらゆるイベントの発生やトランザクションの基本は、それを正確に記録することにあります。さらに言えば、システム内のプロセス、イベント、またはトランザクションの影響を分析する鍵を握るのは、データを取得して報告する能力です。これがデータ分析の始まりです。
私たちはデータに執着し、いつか役立つはずだと大量のデータをため込もうとしてきました。ストレージやハードウェアの低価格化に加え、大量の非構造化データをクラウドに送り込むことができるようになり、この問題はますます悪化しています。
クライアント名は伏せておきますが、最近SAP BW 7.5インスタンスの大規模なアップグレードサイクルを行った際、そのアナリティクスディレクターが言った言葉を覚えています。どのデータと情報を移行したいかという質問に対して、想像はつくかと思いますが、「すべて」と答えたのです。データに対するこうした主観的要件が、混沌とした構造を生み、データセットを化石化させ、その重要性や本質をあっという間に消し去ってしまいます。
企業は「データ主導型」というよりも、「データ執着型」になりつつあります。分散ストレージにデータを保存するだけではデータ主導型の組織にはなれません。データはもはや「あると便利なもの」ではなく、この生成AIの時代において、組織が生き残るための最重要事項となっています。
意思決定の新時代におけるデータ分析の重要な役割
データ分析は、ビッグデータ、機械学習、生成AIにおいて、膨大なデータを理解、処理、活用するための基盤を提供するという極めて重要な役割を果たしています。それぞれを詳しく見ていきましょう。
ビッグデータ
- データ収集:ソーシャルメディア、センサー、取引システムなど、あらゆるソースからデータを集約
- データクリーニング:ノイズの除去、不整合の修正、欠損値の処理などでデータ品質を確保
- 前処理:データの正規化およびスケーリングを行い、関連する特徴を抽出し、分析に適した形式に変換
- 探索的データ分析:データのパターン、傾向、洞察を可視化して要約
- データ統合:異なるソースからのデータを組み合わせ、包括的な分析のための統一されたデータセットを作成
機械学習
モデルのトレーニング
- 教師あり学習:ラベル付きデータを使用してモデルをトレーニング
- 教師なし学習:ラベルなしデータからパターンを発見(クラスタリング、関連付け)
- 強化学習:報酬とペナルティに基づいてモデルをトレーニング
生成AI
- データの準備:生成モデルのトレーニング用に高品質で多様なデータセットを確保
- モデルのトレーニング
⇒現実的なデータサンプルを生成する生成器と、本物のサンプルと生成器が作ったサンプルを識別する識別器をトレーニング
⇒データの確率モデルを学習し、学習した分布から新しいサンプルを生成 - 品質評価:生成されたデータの品質を評価
まとめ
データ分析は、ビッグデータ、機械学習、生成AIに不可欠な存在であり、データの前処理、分析、洞察の抽出に必要なツールやテクニックを提供します。これにより、イノベーションと情報に基づく意思決定が促進されます。
ビジネス変革において、データ分析は後付けされるものではあってはなりません。むしろ「インテリジェントエンタープライズになるために必要な情報は何か」という問いから変革の旅は始まるべきです。