食品卸売業者Aarnioは、大規模な戦略転換の一環としてSAP EWMを導入しました。この大掛かりなプロジェクトは、Westernacher Consultingのサポートのもとに進められました。
Wihuri Groupの傘下にあるAarnioは、25%の市場シェアを誇るフィンランド最大規模の食品卸売業者です。レストランから流通チェーン、サービスステーションに至るまで、日々約3万人の顧客にサービスを提供しています。また、国内に23の配送センターを持ち、約400人の従業員を擁しています。
数年前、フィンランドの食品流通市場は大きな変革期を迎えました。Aarnioの開発担当ディレクターAki Pousar氏は、「大手による買収が進み、業界は大きな変革を強いられました」と言います。Aarnioはそれまで共有の物流プラットフォームを使用していましたが、市場の変化に対応するため、自社物流倉庫の建設を決断しました。「すべての物流プロセスを内製化し、最初から最後まで自分たちで運用できるようにしたいと考えました。競争の激しい食品市場で、お客様に質の高いサービスを提供することが目的でした」とPousar氏は続けます。
新しい物流倉庫の管理
長年にわたりSAP製品を使用してきたAarnioは、すでにSAP ECC 6.0システムを使って、売上、価格設定、物流、財務、顧客データベース、eコマースを管理していました。同社のソリューションがスコープをカバーしていたこともあり、今回のプロジェクトにSAPを採用するのは自然な流れでした。また、SAP EWMの導入と並行して、既存のERPシステムをベースに、供給管理や指図処理のための新しいプロセスを導入することにしました。
これらのプロセスの実現に向け、Aarnioは倉庫管理ソリューションSAP Extended Warehouse Management(EWM)の導入を決定しました。Pousar氏は、「最新の音声制御プロセスなど、倉庫管理システムに対してさまざまな期待を抱いていました。モバイル端末のサポートも要件のひとつでした」と言います。
市場シェア
国内の配送センター数
サービス利用者数/日
従業員数
専門知識とパートナーシップの融合
Aarnioは、ソリューション決定後すぐに、導入段階をサポートするパートナーを探し始めました。Pousar氏は、「SAP EWMはフィンランドではまだ珍しいソリューションであるため、国内でリソースを見つけるのに苦労しました」と話します。そこで、対象地域をヨーロッパ内に広げて探すことにしました。最初に12のシステムインテグレーターを選定し、最終選考に残ったのは3社だけでした。最終的に、Westernacherに依頼することに決まりました。「構築したいプロセスの多くは、私たちにとって未知の世界でした。そのため、特にサプライチェーンや倉庫管理において、適切なスキルと多数の事例を持つパートナーのサポートが必要だと考えていました」とPousar氏は言います。Aarnioは、志を同じくするシステムインテグレーターと真のパートナーシップを築きたいと考えていました。また、このプロジェクトへの投資額は膨大なものとなっていました。Westernacherとパートナーシップを結ぶことで、短期間で投資を回収するための条件がすべて揃いました。
プロジェクト開始後、予想以上に複雑な状況に直面しました。特に、長い間使われてきたシステムの老朽化がその原因となっていました。また、プロジェクトが進むにつれ、従業員を専門分野に応じて配置転換する必要性も出てきました。そこで、Westernacherが物流分野にフォーカスし、Aarnioは供給管理の部分を解決していきました。Westernacherの献身的なサポートにより、この再編成はスムーズに進みました。チームメンバーとして、Aarnioから約10名、Westernacherから開発段階に応じて10~20名が参画しました。
私たちのプロジェクトには前例がなく、多くの課題を抱えていました。自信を持って言えるのは、SAPプラットフォーム、そしてパートナーの両方において、私たちの選択は正しかった、ということです。
Aarnio、開発担当ディレクター、Aki Pousar氏
既存システムに完全統合されたソリューション
SAP EWMソリューションは、2018年末から稼働を開始し、ヴァンターにある床面積2万5千平方メートルの新倉庫を管理しています。SAP EWMは、ERPだけでなく、Relexが公開するサードパーティ製の需要予測ソリューションとも連携しています。Westernacherは、GS1データを収集してSAP環境に直接統合するための特別なモジュールも開発しました。Pousar氏は、「このソリューションにより、新製品や製品参照データの変更を認識し、その情報を指図予約システムに転送できるようになりました」と言います。
プラットフォームが整った今、Aarnioは引き続き、さまざまなプロセスの最適化を進める予定です。Pousar氏は最後に、「私たちのプロジェクトには前例がなく、多くの課題に直面しました。自信を持って言えるのは、SAPプラットフォーム、そしてパートナーの両方において、私たちの選択は正しかった、ということです」と話してくれました。
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