在庫目標計画を変更したものの、顧客サービスレベルへの影響を把握していなかったというケースが何度あったでしょうか。
サプライチェーン計画サイクルにおいて、計画担当者は推奨または最適在庫目標を採用できないシナリオに直面し、その結果、在庫目標を諦めなければならないことがよくあります。 その理由はさまざまです。
- 内部または外部からの予期せぬ供給中断
- 製造停止、メンテナンス、現地の休日
- 在庫によるキャッシュフローの滞りを解消するための財務要件
このようなシナリオやその他の要因のために、在庫目標を推奨または最適レベルより低く、または高く設定しなければなりません。 在庫目標をオーバーライドする場合、低在庫レベルを採用して顧客サービスレベルを妥協することがほとんどです。 そして、オーバーライドの決定を下す計画担当者がサービスレベルへの影響を把握していない場合がよくあります。 つまり、企業は顧客サービスレベルへの影響を理解せずに在庫を決定しているということになります。
幸いなことに、解決策があります。
SAPは、顧客サービスレベルを含め、サプライチェーンネットワークのあらゆるノードにおけるサービスレベル予測を支援する関数を新たにリリースしました。 私事ですが、これはSAPプロダクトエンジニアリングチームを去る前に私が手がけた最後の製品機能/関数のひとつです。
概要
SAP Integrated Business Planning for inventory(SAP IBP for inventory)は、最適化関数に基づいて時系列の在庫計画を作成します。 最適化関数にはハード制約があります。 この場合、SAP IBP for inventoryの最適化関数にハード制約として顧客サービスレベルを入力します。 つまり、作成される時系列の在庫計画は、顧客サービスレベルの入力(キー数値「Target Service Level」)に対応します。 要するに、計画担当者は生成された在庫計画で達成できると見込まれた顧客サービスレベルを把握できます。
目的
新しくリリースされた「Service Level Prediction(サービスレベル予測)」関数を使うと、在庫目標の時変入力をモデリングし、時間とともに変化するサービスレベルを予測できます。
「Service Level Prediction」関数の仕組み
- 入力キー数値「IO Inventory Target Input」:推奨安全在庫をオーバーライドしてサービスレベルを予測するために使用されるロケーションプロダクトの安全在庫目標数量
- 出力キー数値「Predicted Service Level」:入力キー数値「IO Inventory Target Input」を使用して推奨安全在庫量を調整した後のロケーションプロダクトで予測されるサービスレベル
「Service Level Prediction」関数を在庫最適化計画プロセスの後工程として実行する、 つまり、安全在庫最適化で得られた出力をこの関数で使用することを推奨します。
SAP IBP Planner Worspace for Inventory Planner – Predict Service Level
最適化後に「Service Level Prediction」関数を実行する理由
- 多段階在庫最適化の出力キー数値「Recommended Safety Stock」を使って、入力キー数値「IO Inventory Target Input」の適切な入力を定義する
- 多段階在庫最適化の出力キー数値「Average Service Level」を出力キー数値「Predicted Service Level」に対してベンチマークする
IOネットワークIDとネットワークエシェロンレベルのSAP IBP Analyticsの棒グラフ:
Recommended Safety Stock vs. IO Inventory Target Input
Average Service Level vs. Predicted Service Level
各拠点の顧客サービスレベルなど、サプライチェーン全体のサービスレベルへの影響を予測、理解することで、推奨される最適安全在庫のオーバーライドをサポートできます。 また、包括的な分析をサプライチェーンの各ノードで詳細に行い、安全在庫予算レベルで集計できます。
詳細は、弊社までお気軽にお問い合わせください。