変動が常態化する今日、これまでのサプライチェーン計画ではもはや不十分です。混乱がニューノーマルとなった今、より俊敏で連携の取れたアプローチが必要となっています。そこで、サプライチェーン全体のつながりを意識した新たな戦略として「ネットワーク・アウェア・プランニング」が注目を集めています。
弊社のサプライチェーン計画担当ディレクターAlexis Lozadaが、ポッドキャスト「The Future of Supply Chain」の最近配信されたエピソードにて、このアプローチが現代のサプライチェーンの成功に不可欠である理由について語っています。ここでは、そのディスカッションから導かれた5つの重要ポイントを紹介します。
1.「コネクティビティ」が鍵
ネットワーク・アウェア・プランニングの要です。プロセスやモノの流れ、情報や資金の流れなど、サプライチェーン全体のつながりを意識することが、上流のサプライヤーやベンダーから下流の流通業者や顧客まで、意思決定がサプライチェーン全体に与える影響を理解することが重要です。
2. ネットワーク内での役割
サプライチェーンのプロは、より広範なネットワークにおける自分たちの役割を理解する必要があります。仕入先の管理、流通の指揮、製造現場の監督など、自分がサプライチェーンの中でどの立場にあるのかを知ることで、バリューチェーン全体にメリットをもたらす、情報に基づく意思決定を行うことができます。
3. データの信頼性は依然として課題
テクノロジーの進化により、かつてないレベルの可視性とデータ処理能力が得られるようになった一方で、データの信頼性は依然として大きな課題です。ただし、最新のマスタデータ管理技術を利用すると、この課題を早期に克服できます。マスタデータ管理とデータガバナンスを強化することで、計画プロセスの正確性と信頼性が向上します。
4. ネットワークを意識したプロセス
いまだに決定論的でサイロ化された意思決定プロセスから抜け出せない企業が多くあります。サプライチェーン全体への影響を踏まえた「ネットワーク型」の思考を持つ計画担当者を育成・再教育することが非常に重要です。縦割りの視点にとらわれたままでは、コストを別の部門に押し付けるだけの結果になってしまいます。
5. シミュレーションと「What-If」分析を活用
ネットワーク・アウェア・プランニングにより、シミュレーションと「What-If」分析を最大限に活用できるようになります。意思決定に影響する重要な変数を理解することで、シナリオ分析や感応度分析を行い、監視・管理すべき重要な要素を特定できます。これにより、リスクを事前に予測し、効果的に軽減できます。
未来を見据えたサプライチェーン計画
ネットワーク・アウェア・プランニングは単なる流行語ではなく、複雑化するサプライチェーンに立ち向かうために欠かせない考え方です。コネクティビティを重視し、データ品質を優先し、担当者の思考をネットワーク全体を見渡す視点に変えることで、より強靭かつ柔軟なサプライチェーンを構築し、今後のあらゆる変化に対応できる体制を整えることができます。