顧客の期待や市場の要求がこれまでになく高まる中、英国の大手清涼飲料メーカーCarlsberg Britvic社は、英国およびアイルランドの拠点で使用している倉庫管理システムの刷新が必要であると判断しました。そして、SAP Extended Warehouse Management(SAP EWM)の導入を決定し、信頼と実績のあるWesternacherを導入パートナーに選びました。この決断が功を奏し、倉庫業務全体に顕著な改善がもたらされました。SAP EWMの導入により、業務効率、生産性、可視性、自動化の各面で大きな成果がみられ、Carlsberg Britvic社の倉庫業務は将来を見据えた柔軟で持続可能な体制へと進化しました。

1930年に設立されたCarlsberg Britvic社は、英国を代表する清涼飲料メーカーで、現在、英国、アイルランド、フランス、ブラジルで事業を展開しています。英国およびアイルランドでは、PepsiCo社の清涼飲料ブランドの製造・供給を担っています。長い歴史と伝統を持つCarlsberg Britvic社は、今やグローバル企業へと成長し、世界100か国以上で愛される39のブランドを市場に提供しています。
特に清涼飲料は、ノンアルコール飲料業界の中核を成す重要なアイテムです。Carlsberg Britvic社は、PepsiCo社向け製品の製造に加え、J20、Robinsons、Tangoといった自社ブランドも展開し、ノンアルコール飲料の分野でも確かな地位を築いています。ノンアルコール飲料業界では現在、業務効率化を追求する一方で、特定市場のニーズに応える新たな製品開発にも注力するという戦略的な転換が進んでいます。
卓越性の追求
Carlsberg Britvic社は、完成品および原材料を保管する全倉庫でSAP Warehouse Management(SAP WM)を使用していました。各拠点ごとの要件や現場の業務プロセスを反映するため、過去15年の間に、特にモバイル端末やスキャニングトランザクションの領域でSAP WMが大幅にカスタマイズされていました。
大きな課題のひとつは、倉庫タスクやピッキングリストが人の手で作成・配布されており、作業効率の低下や人的ミスにつながる要因となっていたことでした。
また、ロット管理が不十分で、倉庫業務のトレーサビリティも限定的でした。主にSAP WMシステムの制約の中で倉庫スペースの最適利用を図る必要があったため、1SKUごとに1か月あたり1バッチのみが管理されていました。
さらに、原材料に関してもトレーサビリティに課題がありました。多くの拠点で、大型の保管棚にすべての原材料がまとめて保管されており、個別のトラッキングやバックフラッシュが行われていませんでした。
Carlsberg Britvic社は、SAP WMシステムの制約を打破し、テクノロジーやビジネスの進化に対応するためには、サプライチェーンの再設計に取り組み、業務の効率化や高度なトレーサビリティの実現、そして業界標準およびベストプラクティスへの準拠を図る必要があると判断しました。
同社のIT戦略・デリバリーディレクターSheetal Sachdev氏は、SAP EWM導入に着手した背景について、次の3つの理由を挙げています。「1つ目は、原材料から完成品まで、サプライチェーン全体の可視性を高めること。2つ目は、システムによるピッキングガイド、自動補充、効率的な在庫受入プロセスを実現すること。そして3つ目は、在庫管理を最適化し、廃棄ロスや長期滞留在庫を削減することでした。」
パートナーシップによる成功
SAPの倉庫管理ソリューションを専門とする経験豊富なパートナーとして知られるWesternacherは、Carlsberg Britvic社のニーズを満たすSAP EWM(拡張倉庫管理)の導入を支援し、倉庫業務の最適化を実現しました。
Carlsberg Britvic社特有の要件を深く理解し、それに寄り添ったSAP EWM導入が、プロジェクト成功の鍵となりました。
弊社のITチームおよびWesternacherと協力してプロジェクトを進める中で、私たちサプライチェーンチームはテクノロジーとシステムについて多くを学び、それを各拠点のチームにしっかりと伝え、現場での実践に結び付けていきました。
Carlsberg Britvic社サプライチェーンプログラム責任者Mick Wilson氏
「Beckton工場のプロジェクトは、皆で力を合わせたからこそ実現できたと思います。プロジェクトが進み、レビューを重ねる中で、貴重なフィードバックがたくさんありました」と、Beckton工場の製造部長Neil Pickering氏は語ります。「こうしたフィードバックを活かし、当初の標準プロセスにとどまらず、継続的に改善を加え、完成度を高めていきました。現場の従業員全員が日々それを実践しています。」
倉庫業務を最大限に効率化
この導入により、Carlsberg Britvic社は堅牢かつ効率的な倉庫管理ソリューションを手に入れ、多くの利点を享受しています。
単一プラットフォームへの統合
SAP EWMの採用により、すべての倉庫業務を統合プラットフォーム上で管理し、プロセスの効率化と業務の最適化を実現
システムによるピッキングガイド、在庫受入、リソース管理
紙のピッキングリストや人手によるタスク割当を排除
生産性向上と人件費削減
新しい倉庫作業員のオンボーディング時間を短縮
生産性向上と人件費削減
新しい倉庫作業員のオンボーディング時間を短縮
リアルタイム監視とアラート
平均ターンアラウンドタイムを短縮
注文状況のリアルタイム把握や納期遵守およびサービス品質の改善によりカスタマーサービスを向上
注文状況のリアルタイム把握や納期遵守およびサービス品質の改善によりカスタマーサービスを向上
クロスドック機能
生産ラインからトレーラーへ直接積載
原材料のトレーサビリティと在庫の可視化
原材料のトレーサビリティ向上および在庫レベルの可視化により在庫管理を改善
全数棚卸の排除
在庫の精度と可用性を改善
ヤード管理との連携
SAP ECCと連携し、サードパーティのLSPによる出荷計画と統合することで、輸送業務を効率的に調整
1 %
受注から納入までの時間短縮
10 %
在庫精度の向上
1 %
ピッキング、積載、保管棚利用率の改善
SAP EWMで将来のニーズに対応
WesternacherによるSAP EWM導入は、Carlsberg Britvic社の倉庫業務において、プロセスの自動化、在庫管理の効率化、トレーサビリティの向上、業務の可視化など、多岐にわたる改善をもたらしました。
Westernacherは、パートナーシップを重視したアプローチと専門知識により、従来のシステムからSAP EWMへのスムーズな移行を実現し、業務への影響を最小限に抑えつつ、導入の成果を最大限に引き出しました。Carlsberg Britvic社のニーズを深く理解したうえでの協働がEWM導入成功の鍵となり、堅牢で将来性のある倉庫管理ソリューションの構築が実現しました。
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