SAP IBPの特性基準計画(CBP:Characteristics-Based Planning)とは、サプライチェーン管理のオペレーション領域において、ユーザー定義の特性ルールに基づき、供給と需要の要素をシームレスに結び付ける新たなアプローチです。
このアプローチにより、多数の製品バリアントをマスタデータモデルに追加する手間が減り、計画効率が向上します。さらに、SAP S/4HANAまたはERPをIBPとリアルタイム統合(RTI)することで、データやプロセスがシステム間で正確に同期されます。
特性とは?
特性とは、SAPシステムで製品、需要、供給を定義する属性やプロパティのことです。
CBPでは、有限ヒューリスティックを用いた供給計画の実行時にさまざまな特性を考慮できます。これらの特性には、サイズ、色、品質などの製品に関連する特性のほか、特別イベント、パッケージング、ラベリング、持続可能性といった供給計画の判断材料となる要素も含まれます。
Dacia Bigster
特性の例:
製品特性: カラー、エンジン、グレード、ホイールサイズ
需要特性:顧客の地域、販売チャネル、季節性
供給特性:リードタイム、サプライヤー評価、タイヤの種類や品質
* IBPでは、需要と供給の2種類の特性が使用されます。
IBPにおける需要/供給属性の設定例:
IBPにおけるCBP
CBPでは、供給計画実行時に製品関連の「計画フィルタ」(需要特性)を活用します。需要は、IBP内で定義されたルールに基づき、特性値を考慮して供給に紐付けられます。これらの需要特性および供給特性は、RTIによりSAP S/4HANAから取得されます。
1. 在庫(バッチ) – 製品の色、サイズ、品質などの供給特性を保持
2. 受注/予測 – 顧客タイプ、顧客の地域などの需要特性を保持
IBP BCPの利点
- マスタデータの複雑さを軽減:必要なSKU数を削減できます。
- 予測精度を向上:すべての販売実績や予測が単一のSKUに記録されるため、データのばらつきが抑えられます。
- 高カスタマイズシナリオに最適:自動車業界やアパレル業界など、カスタマイズ性の高い見込み生産製品に適しています。
IBP CBPのユースケースシナリオ
シナリオ1:供給一致
この例では、受注を既存の在庫から調達します。既存の在庫は、特性の異なる複数のバッチで構成されています。
受注は、CBPプロファイルで定義されたルールに基づき、定義済み特性(ドイツの顧客向けに発送されるハイブリッドエンジンなど)に一致するバッチに紐付けされます。

シナリオ2:供給創出 ~ 供給が需要を満せない場合
既存の供給が不足している場合に供給をどう創出するかを決定するルール(計画手配や在庫転送など)が定義されています。
この例では、ドイツおよび中国の顧客からの受注を満たすための計画手配が作成されます。ドイツの顧客向けにハイブリッドエンジンの計画手配、 中国の顧客向けに標準エンジンの計画手配が作成されます。
供給元が複数あるシナリオでは、CBPを使うことで、最適な生産工場や輸送レーンを選択するルールを定義できます。
同じSKU(Dacia Bigster)でも、モデルごとに生産工場が異なります。
- ハイブリッドエンジン:工場DE10で生産
- 標準エンジン:工場DE20で生産

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