経験を重ねるうちに、効果的な在庫管理が業績悪化の回避策になることが分かってきます。事例は数多くありますが、今回は在庫管理を効果的に行うことの重要性を示すケースをいくつかご紹介します。
新たに参入したある高級ドッグフードブランドは、需要予測を上回る売上を達成しました。ところが、主な材料の供給元を、生産と輸送のリードタイムが長い一社に頼る形でサプライチェーンネットワークが設計されていたため、供給が滞り、数か月間にわたり売上が低迷しました。生産と調達の責任者が奔走し、外部包装業者と契約を結んで完成品の生産増加を図り、供給元と新しい生産ラインの拡大を交渉した結果、需要と供給のバランスは取れたものの、売上の低下と契約生産・調達コストの増加により、新製品の収益見込みが制限されました。
これら2つの事例に共通していることは何でしょうか。
サプライチェーンを診断すると、たとえば次のような関連要素が明らかになります。
- 顧客需要から切り離された供給決定:サプライチェーンネットワークの上流工程での供給決定において、下流拠点からの顧客需要の可視化や需要の反映が行なわれていない。
- サイロ化された供給決定:サプライチェーンネットワーク全体を考慮せずに供給決定が行なわれることで、材料の流れが滞り、在庫の過不足が発生し、収益性が悪化する。
では、このような懸念に対処するためにサプライチェーンをどう整備すればいいのでしょうか。
まず、次の点を考慮する高度な計画システムを使用して、在庫のサプライチェーン計画プロセスを設計します。
- 需要および供給プロセスの連結(在庫構築の意思決定を行うエンドツーエンドのサプライチェーンネットワークのあらゆる階層)
- 外部(顧客)需要とその変動性
- 顧客サービスレベル
- リードタイム、対応する変動性、ロットサイズなどの内部および外部調達の変数
- 配送、製造/組立、部品表、ベンダーに関する内部調達関係
- 仕掛品の部品表や原材料調達を含む顧客需要とその変動性の上流拠点への伝播
幸いなことに、強固な在庫計画をサプライチェーンに組み込み、サプライチェーン実行パフォーマンスを向上させるソリューションが存在します。
SAP Integrated Business Planning for inventory (SAP IBP for inventory)は、エンドツーエンドのサプライチェーンネットワークを接続する包括的なモデルを用いて、最適化機能をもとに時系列の在庫計画を生成します。需要と供給のさまざま変数を取り込み、適切なタイミング、適切な場所、適切な数量で在庫目標を提案します。このソリューションを活用し、在庫計画プロセスを見直したり、新たな在庫計画プロセスを構築することで、在庫計画を最適化しつつ、顧客サービスレベルとサプライチェーンネットワーク全体の材料の流れを維持できます。
Westernacherは、SAP IBP for inventoryの豊富な経験を活かし、多くのお客様の業績向上をお手伝いしています。
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