物理的なサプライチェーンを繋ぎ、計画から納品までを実現するものは何でしょうか？
価値転換のさまざまな段階での調達により、サプライヤー/ベンダーから、顧客への配送を行う物流センターまで、サプライチェーンネットワーク上の商品・サービスの流れがエンドツーエンドに繋がります。
調達のタイミングは、サプライチェーンがTime-to-Market（市場投入）ビジネス戦略をどうサポートするかに大きく影響し、高い顧客満足とロイヤルティを生み出すための基盤となります。また、複数のサプライヤーやベンダーからの原材料の納品はもちろん、生産・組立工程をタイムリーに実行するためにも重要な役割を果たします。
こうした調達のタイミングは、一般にリードタイムとして知られる指標で測定されます。リードタイムは、該当するユースケースに応じて、時間、日、週、または月単位で測定されます。いくつかの例を挙げます。
- 発注日から受領日までの最長経路のリードタイムを測定
- 出荷日から納入日までの運送業者のリードタイムを測定
- 原材料の受領日時から完成品の出荷日時までの製造工程のリードタイムを測定
サプライチェーン管理での調達リードタイムは、サプライチェーンに関わるさまざまな担当者にとって重要なテーマです。
- 調達チーム：契約交渉やパフォーマンス測定のためにベンダー/サプライヤーのリードタイムを確認
- 生産管理者：ベンダー/サプライヤーのリードタイムに基づき生産スケジュールを決定
- 供給分配計画管理者：仕掛品および完成品の分配のために工場/加工リードタイムを確認
- 輸送計画管理者：契約交渉やパフォーマンス測定のために運送業者のリードタイムを確認
- サプライチェーン管理者：顧客サービスレベルパフォーマンスの一環として顧客のリードタイムを確認
これらの担当者が一貫して重視するのは、調達リードタイムの変化に対応できるサプライチェーンを持つことです。多くの企業が供給遅延や混乱に日々直面しています。調達リードタイムが予想と異なる事態にその場しのぎに対応し、在庫可用性を低下させています。また、在庫切れを防いで重要な顧客へのサービスレベルを保つために奔走しています。
それでは、調達リードタイムの混乱に向け、どのような準備が必要なのでしょうか。
まずは、サプライチェーン計画から始めましょう。高度な計画システムでは、リードタイムを入力して供給・在庫計画の意思決定に活用できます。
ただし、計画されたリードタイムと実際のリードタイムの間にギャップが存在することがよくあります。計画リードタイムの入力が頻繁に更新されない、またはオペレーションリードタイムの実態が反映されない場合、計画時にリードタイム入力が使用されても、実行時の問題を最小限に抑えることができません。
幸いなことに、このギャップを埋め、強力なサプライチェーン計画を構築し、より優れたサプライチェーン実行パフォーマンスを実現するソリューションが存在します。
SAPは、SAP Integrated Business Planning for Supply Chainで「Supply Lead Time」と呼ばれる機能をリリースしました。この機能は、サプライチェーンの各調達（ベンダー調達、生産/組立調達、および社内配送調達など）での調達リードタイムの計算に役立ちます。
詳しく見ていきましょう。
SAP Integrated Business Planning for inventory（SAP IBP for inventory）は、次のようなリードタイム入力を考慮する最適化関数に基づいて時系列の在庫計画を作成します。
- 輸送リードタイム：社内配送分配リードタイム（単位：週）
- 輸送リードタイムエラー変動係数：入力値がゼロ以上の場合の輸送リードタイムの変動係数
- 生産リードタイム：社内加工/生産リードタイムまたはベンダー/サプライヤーリードタイム（単位：週）
- 生産リードタイムエラー変動係数：入力値がゼロ以上の場合の生産リードタイムの変動係数
これらのリードタイム入力をもとに、推奨安全在庫のSupply Variability Safety Stock（供給変動安全在庫）コンポーネントと、輸送中在庫の主要指数や目標在庫ポジションなどのその他の在庫計画出力が計算されます。したがって、SAP IBP for inventoryが作成する在庫計画の頑健性は、これらのリードタイム入力が実際のオペレーションリードタイムをどれだけ正確に反映しているかによって決まります。
SAP IBP Analytics Story Planner：安全在庫指標による在庫分析
前述のように、計画されたリードタイムと実際のリードタイムの間にギャップがあると、計画が阻害される可能性があります。たとえば、在庫運転資本節約の過小評価または過大評価につながります。
SAP IBP Analytics Story: 基本シナリオとオペレーションリードタイムシナリオを比較する在庫分析
SAP IBPの「Supply Lead Time」機能の仕組みや、改良されたリードタイム入力を在庫計画に取り入れる方法に関する詳細は、弊社までお気軽にお問い合わせください。
