新型コロナウイルスの世界的流行は、従来のビジネスを一変させました。オムニチャネル倉庫のスムーズな運営を確保するため、自律走行搬送ロボット(AMR)ソリューションを導入する企業が増えています。こうしたソリューションは、コロナ禍での従業員の安全を守るだけでなく、労働力不足の時代において企業の回復力向上をサポートします。さらに、ピッキングや倉庫作業の実行、出荷指図など、倉庫の主要業績評価指標を大幅に向上させる効果があります。
Westernacherが構築したもの
まず、AMRソリューションとの統合で必要となる変更点に焦点を当て、標準的なEWM倉庫環境(テンプレート)を考案しました。AMRを既存の倉庫に導入するのではなく、すべての環境(床、棚の配置、梱包ワークステーションなど)がAMR用にきちんと最適化されるよう、新しい倉庫が建設されることになりました。
プロジェクトのハイライト:
- Kivaスタイルの棚保管システム
- オンラインおよび店舗フルフィルメントの混合保管
- 梱包済み出荷単位をソートする仕分けロボット
- オムニチャネルの保管とピッキングを組み合わせたピッキングエリア
- スループットを高める高度な梱包ワークステーション
- 標準的RFを統合したマニュアル補充エリア
新倉庫のハイライト:
- 倉庫面積 – 約18.5万平米
- 梱包ワークステーション – 20箇所
- 搬送ロボット – 150台
- Flexoソーター – 20台
- 棚数 – 約9,000
- システム内の品目マスタ – 約450(流通中の品目マスタ – 約5,000)
Westernacherの手法
クライアントはそれまで、長期にわたる導入プロジェクトをいくつも経験していました。既存のテンプレートが複雑なため、通常、新倉庫の立ち上げだけで少なくとも9か月はかかります。今回は、革新的なソリューションを構築するだけでなく、それをより短期間で実現する方法を見つけることも求められました。
そこで、ソリューションを2つの機能に分割して段階的に本稼働させ、「Westernacher Q」方法論を適用することを提案しました。これは、クライアントとロボティクスプロバイダーの日々の業務への影響をできるだけ抑えるためです。まずは店舗業務にフォーカスすることで、プロジェクトチーム(クライアントのIT部門、倉庫業務部門、ロボティクスプロバイダー、小売店スタッフ)は、よりシンプルなビジネスプロセス、より小さなSKU(現シーズンと次シーズンのみ)を使い、消費者への直接的な影響がない環境で、新しい倉庫とロボットをテストすることができました。基本的なセットアップがスムーズに稼働し、店舗に計画どおり在庫が届くことを確認したら、梱包ステーションや宅配便出荷を伴うオンライン注文実行のための要件と複雑性を追加していきました。
プロジェクトの実施にあたり、ウォーターフォールとアジャイルの要素を組み合わせた「Westernacher Q」方法論を使用しました。この方法論を使うと、現状をすばやく(3週間で)把握することができます。その後、集中的にワークショップを行い、ソリューション設計書(SDD)、フィットギャップ分析、詳細な実行計画、最終的な費用見積りを作成しました。4週間の設計段階が終わるころには、開発に移る準備が整っていました。
開発段階では、4週間ごとに進捗を確認できるよう、アジャイルスプリントアプローチを取り入れました。すべての設定および開発作業を1~2スプリントに割り当て、各スプリントではまずSDDに基づく詳細な機能仕様書(FSD)の作成を行いました。クライアントがFSDをチェックし、短時間のワークショップで不明点を解消しました。サインオフ後、2週間(複雑なものはそれ以上)にわたり、機能領域またはWRICEF項目の開発・設定を行いました。スプリントの最終週(通常は4週目)に結果を提示し、完成したWRICEF項目について再度承認を得ました。
開発段階の終盤に導入作業を開始し、システム統合テスト、ユーザー受け入れテスト、パフォーマンステスト、カットオーバー、最終的なレディネステストを行いました。
このアプローチを採用することで、変更要求も含め、スケジュールどおりにプロジェクトを進めることができました。さらに、予算を5%下回り、クライアントのこれまでのSAP EWM導入プロジェクトに比べて、はるかに少ないエラーや不具合でソリューションを提供できました。
変革プロジェクトをお考えですか?ぜひ弊社までお問い合わせください。
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